二度の休学を経てクラフトビールで起業!株式会社Story Agent代表取締役副社長・藤戸淳平

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第224回は大学入学後に世界一周を経験したことをきっかけに学生醸造家として活動されている藤戸淳平さんです。現在、横浜市立大学に在籍中の藤戸さんは実はすでに2回休学をされているそう。世界一周・海外インターンと2度の休学を経て、藤戸さんが何を感じ、どういった思いで起業を決意することとなったのか。これまでの経緯をお話いただきました。

 

他人の目を気にしていた中、世界一周を決意

ーまずは簡単な自己紹介をお願いいたします。

横浜市立大学に通いながら今年の7月にクラフトビールの製造・販売・Eコマース事業を中心とした株式会社Story Agentを立ち上げました、藤戸淳平です。現在、Travel Triggerというブランド名のクラフトビールをベトナムでインターンさせていただいた会社に製造委託し、日本での販売を目指して動いています。

その他にも千葉県の古民家をお借りし、20代前半のメンバーを中心に「地球ともっと生きることを楽しく」をテーマに半自給自足の古民家改修プロジェクトに取り組んでいたり、バンライフ事業に取り組まれているCarstay株式会社より業務委託を受け営業やカスタマーサクセスのお仕事をさせていただいたりしています。

ー様々なことに積極的に活動されていますが、昔からいろんなことにチャレンジされるのは得意だったのですか。

いいえ。今のようにいろんなことにチャレンジをするようになったのは大学に入ってからで、それまではどちらかというと周りの反応を気にして生きていました。小学生の頃はサッカーと少林寺拳法を、中高もサッカーを続けていたので所謂サッカー少年でした。また、進学した地元の中学校がヤンキーの多い中学校だったので周りの影響もあり授業に真面目に出席することはなく、優等生からは程遠い学生でした。

良い意味でも悪い意味でも転機となったのは中学2年次に先生になぜか勧められて学級委員をさせてもらったことでした。学級委員になったことでこれまで自分がどれだけ周りに迷惑をかけてきていたのかに気づくことができ、そこからは他人に迷惑をかけないように生きようと改心したんです。一方でそれ以来、必要以上に周囲の反応に注意をするようになり、常に他人の目を気にする性格になりました。

ーそこからどのように今の藤戸さんに変わっていかれたのでしょうか。

大学を休学して世界一周に行ったことが大きかったです。もともと英語が好きで大学へは指定校推薦で国際学部に進学することが決まっていたのですが、サッカー以外の何を大学でしたいか考えた中で見つけたのが世界一周でした。海外に行ったことがなかったので、漠然と大学では国際ボランティアか留学をすることを考えていたのですが、その中でたまたま見つけたのがNICEという団体がされているぼらいやーというプログラムでした。説明会で、「旅×ボランティア×あなたのやりたいことを実現する1年」という言葉を聞いて直感的にこれだと思いました。誰にも相談することなく休学して世界一周をしようと決め、応募をしました。

 

再度休学し、海外インターンを経験

ー実際に世界一周してみて、いかがでしたか。

約10ヶ月かけて35か国まわったのですが、国ごとにこんなにも人って違うということを知ることができて面白かったです。ぼらいやーの参加者の多くは目的やテーマを持って世界一周されていたのですが、私はただ違う世界がみたいという思いで世界一周を決めていたのでとにかくたくさんの国にまわっていました。

その中でも印象に残っているのは約4ヶ月滞在した中南米です。陽気な人が多く、毎日楽しそうに、遊ぶように暮らしている中南米の人を見て、せわしなく生きている日本人とのギャップを感じました。これから自分はどう生きていきたいかについて考えるきっかけとなりましたね。

ー帰国後、具体的に生き方を変えられたりしたのでしょうか。

そうですね。自分がワクワクする生き方を実現するにはどうするのかいいか考えた結果、とりあえずやってみたいと思うこと全て挑戦してみようと決めました。それからは日本一高い橋でバンジージャンプに挑戦したり、国内でヒッチハイクをしてみたり、クラウドファンディングに挑戦し企業協賛を得て日本縦断の旅をしてみたり。中高の頃はずっと周りの目を気にしていて挑戦することに対するハードルが高かったのですが、世界一周をきっかけに周りの目を気にするのではなく自分は何をしたいかを基準に動けるようになっていきました。

そうやってやってみたいと思ったことを順番にやっていく中で、次にやりたいことが見つかり、また挑戦するというサイクルが続いたのですが、その流れで次は海外で働いてみたいと思うようになりました。

ーそれも、挑戦されたのですか。

はい。すでに1年休学していたのでもう1年休学することに対して迷いもあったのですが、一度やっぱり海外で働いてみたいと思ったので休学を決め、トビタテ留学JAPANの奨学金制度を使用して再び海外へ行くことを決めました。

具体的には、自分の好きなことに関わる仕事をしたいと思ったので日本酒関係の仕事をしたいと思いインターンをさせてくれそうな海外の会社を探しました。初めはスペインで日本酒を作っているスペイン人の方を見つけて連絡を取ってみたのですがあいにくインターンは募集しておらず…時間もなかったのでとにかくお酒関係の海外インターン先を、と調べる中で見つけたのがベトナムのクラフトビール会社7Bridges Brewing Co.でした。

 

クラフトビールの魅力はそれぞれの醸造ストーリー

ーそれがきっかけでクラフトビールでの起業を考えられたのですか。

はい。とはいっても初めは起業したいという思いは全くなかったんです。ダナン本拠地の会社だったのですが、インターン生にも関わらずたった2週間の研修の後ホーチミンの営業全てを任されることになり…。1人でホーチミンの営業、発注管理、イベントの企画運営を担当していました。

クラフトビールはアート職人が作る作品と同じように、職人の思いやストーリーが込められており、その醸造背景を伝えながら営業するのはとても面白かったです。クラフトビールにはそれぞれ異なった醸造ストーリーがあり、ビールとしてただ味を楽しむのではなく、そのストーリーを知った上で飲むと更に楽しむことができます。しかし販路を広げるための飛び込み営業をしていると、どうしてもストーリーを伝えることよりも売ることに意識がいってしまいました。その頃から少しずつ自分の思いを込めたクラフトビールを自分で作って売りたいなと思うようになったんです。

ー具体的にその後起業するまでにどのようなステップを取られたのですか。

インターン先の社長と副社長に、自分のブランドを立ち上げて自分のクラフトビールを作りたいというお話をさせていただき、残りのインターンは営業ではなく、ビールづくりを学ばせてほしいとお願いしました。快く承諾していただいたのですが、そのタイミングでコロナが流行してしまい…日本に帰国することとなってしまいました。

それでも何もしない訳にはいかないと思い、帰国後とりあえずブランドを作ることを決意。ビール作りは学べなかったので、インターン先に製造を業務委託する形で日本でオリジナルビールを販売することを決めました。

ーどのようなクラフトビールの製造・販売を決められたのでしょうか。

クラフトビールは現状、ビール好きにしか飲まれていないというのを感じていたので、ビールやアルコールが苦手な方でも飲める、アルコール度数1%以下のクラフトビールを作ることにしました。第一弾としてはベトナムらしさを出したパッションフルーツのラドラースタイルのビール発売に向けて今年7月にクラウドファンディングを行い、無事目標額を上回るご支援をいただきました。

 

理想の生き方・働き方を目指して

ーすごいですね。クラフトビール以外にもいろいろと取り組まれていますが、これらに共通することは何かあるのでしょうか。

全て自分が面白そうだと思ったこと、ですかね。あとは、自分の目指すライフスタイルに合いそうなものというのが共通点です。30歳になった時にどんな働き方をしていたいかと考えた時に「旅をしながら生きたい!」と思いました。理想はバンライフをしながら、世界各地でビールを作り、DIYや農作業をしながら生活すること。そのために今所属している団体や会社を手放しても、個人で何かできるような人でありたいなと思って今かんばっています。

ー最後に、今後の目標などがあれば是非教えてください!

直近の目標としてはクラウドファンディングをご支援いただいた方に無事クラフトビールを届けること、そして完成したクラフトビールをより多くの人に知ってもらい、楽しんでもらうことです。また、第一弾はベトナムで醸造したクラフトビールにしましたが、「旅をするきっかけを作る」というコンセプトの元、今後も新しいクラフトビールの開発に取り組んでいきたいです。このクラフトビールで乾杯することで新たな友達が出来たり、このクラフトビールを飲んだ人が世界に出て、世界でまた新たな友達を作ってくれたら嬉しいです。そうやって友達の輪がどんどん広がることで、「他人」がどんどん減っていき、それぞれがそれぞれのことを思いやれる世界になっていってほしいなと思っています。

実は第二弾に向けてすでに動き出しており、次は台湾を舞台にしたクラフトビールを考えているところです。ぜひ楽しみにしていてください!

取材者:山崎貴大( Twitter
執筆者:松本佳恋(ブログ/Twitter
デザイナー:五十嵐有沙 (Twitter