キャッチに騙された僕がAV男優に。早稲田大学3年・篠塚康介さんに訊く!挫折から未来を始める方法

様々なキャリアの人たちが集まって、これまでのステップや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第171回目のゲストは、株式会社BasicIncomeでインターン生として、働く篠塚康介(しのつかこうすけ)さんです。

池袋でキャッチに「AV女優とやれる」と騙された経験をブログに書いて、ネットでバズを起こし、一世風靡した早稲田生の風俗ブロガー篠塚さん。株式会社BasicIncomeから、月20万円のベーシックインカムをもらった第1号者。そして、大学生でありながらAV男優としてデビューを果たす。その後、株式会社BasicIncomeのインターン生になった篠塚さんに、不安の乗り越え方や現在に至るまでの過程を迫りました。

 

「人を信じてはいけない」と本気で思った小学生時代

ー篠塚さん本日はよろしくお願いします!それでは早速、簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

風俗ブロガー、AV男優、株式会社BasicIncomeでインターン生として働いている篠塚康介です。大学2年生の9月から風俗に通っていて、風俗の体験ブログを書いていたら、去年の6月に大学側に風俗ブログを書いていることがバレました。大学の教務課に呼び出されて、教務課に「君のブログは誰も傷つけていないし、それなりに文才もあるから気をつけながら頑張りなさい」と言われたんですよ(笑)

その経験をTwitterで発信したらでバズって、週刊ポストに取材されたり、ライブドアブログに掲載されたこともあります。

でも、元々早稲田の風俗ブロガーではなく、AV男優になるつもりだったから、早稲田の風俗ブロガーからAV男優に転身して、2018年11月にAV男優としてデビューしました。コロナが始まる前は、AVに出ていて、現在は株式会社BasicIncomeでインターンをしています。

ー今日は様々な経歴をお持ちの篠塚さんの過去について迫りたいのですが、篠塚さんはどんな少年だったのですか?

小学生の頃はもうずっとゲームばかりしている少年でしたね。当時遊戯王にはまっていて、学校から帰っても宿題をせずに遊戯王ばっかりしてました。

誰にも負けたくなかったから、お年玉やお小遣いをぜんぶ遊戯王につぎ込んで、4,000円ぐらいするカードを買うほど本気でやってました。でも、4,000円で買ったカードを紛失してしまって、「いくらお金を費やしても、いつかは失われていく」という恐怖を小学生の時に味わったんです。

ー小学生の頃からもう文才の片鱗が見え始めていますね。大切なカードを紛失したのはなぜですか?

たぶんカードゲーム屋さんで、友達とバトルしていた時に盗まれたのかもしれないですね。その時にひとつ気が付いたことは、「身の回りの人を信じてはいけない」ってこと。疑心暗鬼かもしれないんですけど、人間って本音はわからないじゃないですか。本当に信用できるかどうかって、例えば長年付き合っている友人でも裏切ることがあるから、僕は信用できないんですよ。

ー小学生ながら現実的ですね。ちなみに、篠塚さんは過去を振り返ったりするんですか?

ええと、自分の過去のできごとを、小学生の頃からずっとブログに書いてましたね。今も「できっこないをやらなくちゃ」をテーマにブログを書いていて、過去の体験が、今にどんな影響をもたらしているのかを考えるのが好き。だから、自分の振り返りとして書くことが多いですね。

ーええ!小学生の頃からブログを書いてらっしゃるんですね。ちなみにどんなきっかけで、ブログを始めたのですか?

小学3年生ぐらいにブログを始めたんですけど、それは初めて好きになった女の子が毎日ブログを更新していたからなんです。好きな子は頭が良くて、クラスで人気のある女の子。好きな女の子が、ブログを更新しているとかめっちゃ見ちゃうし、毎日書いた文章を読めるなんて超幸せじゃないですか!

「お互いにブログを見せ合えば仲良くなれるんじゃないか」って、好きな女の子と仲良くなるために、始めたら自分がブログにはまっちゃいました…

 

高校受験の挫折が東大を目指すきっかけに

ー大学受験の時に東大を目指していたとのことなんですけど、何がきっかけで東大を目指すことになったんですか?

高校受験した時に、地元の有名進学校に4人受けて、僕だけ落ちたんですよ。それがもうめちゃくちゃ悔しくて…

中学1,2年の時に勉強をサボって、中3から勉強を始めたんですけど、それでは遅すぎた。あと中学1,2年の時に、内申点が良くなかったのが原因で落ちました。高校で同じ思いをするのは嫌だと思ったし、大学受験の時に同じ挫折を味わいたくなかった。

高校に入る前の春休みの1ヶ月ってあるじゃないですか。その時にみんな遊んでると思うんですけど、僕は高校の勉強の予習を始めて、高校に入ってからいいスタートを切ろうと思って高校に入ったんですよ。入った高校は埼玉県の私立高校だったんですけど、部活をあんまりやらない高校で、1番上のコースは東大を目指すコース。高校に最初に入った時に、勉強合宿があって、そこで悪い意味で洗脳されちゃうんです(笑)

でも、「お前らはいい大学に入るためにこの高校に入ったんだから高校受験の時に味わった挫折を糧に死ぬ気で勉強しろ」という先生の発言に、完全に火がつきましたね。高校受験の辛さを味わいたくなかったし、もう1番上のところを目指した方がいいと思ったのがきっかけですね。

中途半端な勉強をしたら、また同じような悔しさを味わうんじゃないかって恐怖から、圧倒的努力で大きな成果を残そうと考えていました。

ー圧倒的努力。今の篠塚さんに、ぴったりなお言葉ですね。勉強を頑張っていく中で、辛いなと思う体験はありましたか?

うーん、なんだろう。高校に入ってからは予習復習もめっちゃしてたし、いろんなことに興味を持って勉強し始めたら、結果がどんどん出たんです。中学生の頃は勉強がダメだったけど、高校に入ってからは自分でもびっくりするぐらい模試の結果も良かったので、辛いとは感じませんでした。むしろ結果が出るのが楽しくて。

うちの高校は勉強第一の高校なので、その中で勝つっていうのが楽しい。クラスの中でもトップを取っていたし、みんなが勉強を頑張っている中で、結果を残すのはゲームみいな感覚でしたね。

ーすごいですね。受験の結果はどうだったんですか?

受験は明治大にセンター利用で受かって、早稲田は3つの学部に全部受かって、東大だけあと10点ぐらいで落ちてました。

東大は2日間受験があるんですけど、2日目の昼に早稲田の文学部の合格発表が出たんですよ。受験の最中に合格発表を見たらだめなんですけど、最後の東大の英語だったかな。昼休みの最後に早稲田に受かっているかを確認したら、安心してしまった。東大1日目で手応えもなかったし、正直きついかなと思っていたら、本当に落ちてました。

ーあと一歩だったんですね。浪人は考えなかったんですか?

周りに「あと1年頑張れば絶対行ける」って言われることもあったんですけど、僕の友達は部活をやったりしていて、その残された時間で受験をしてたわけなんですよ。でも僕は3年間勉強に費やして、ここまでやって受からないならもう受からないなと。きっぱり諦めて、大学に入ってから次の目標を見つけた方が人生楽しいかなと思って、第二志望の早稲田に入学しました。

 

池袋でキャッチに騙され、ぼったくり被害にあったことをブログにしたら超ウケた

ー単刀直入に聞きますが、なんでSEXしたいと思うようになったんですか?

大学受験は割と成功したと、自分でも思っています。でも早稲田に入って、恋人ができず、童貞卒業もできない。地元のあまり勉強をしていなかった友人には彼女ができて、SEXしまくってるのが悔しくてたまらなかった。

死ぬほど勉強して早稲田に入ったのに、恋人ができず、SEXもできないなんて報われなさすぎじゃないですか?

悔しかった。めっちゃSEXしたかった!

ー19歳の時に「池袋で童貞を卒業する」という目標を持たれるということなんですけど、何がきっかけだったんですか?

さっきも言ったんですけど、僕はめちゃくちゃSEXがしたかったんですよ。友達がみんな童貞を卒業し、童貞卒業宣言をしていく中、自分は童貞を卒業できていない。「ああ、もしかしたらこのままSEXできずに死んでしまうかもしれない」と19歳の頃に思った。「将来彼女ができた時にSEXの仕方がわからなくて困らないようにSEXしておこう」と思って、2018年6月8日の金曜日に池袋の風俗に行きました。これが僕の人生のターニングポイントってやつですね。

池袋で「AV女優とやれるよ」とキャッチに声をかけられて、その時に持っていた全財産の12万円を騙し取られました(笑)SEXもできずに全財産を騙し取られて、「こんな情けない男は死んだ方がいいんじゃないか」って。「俺はこのままSEXができず、騙されて死んでいくんだ」と思ったら情けなくて、死にたくなりました…

ー壮絶な体験ですね…そこからどうやって立ち直ったんですか?

いつかぼったくりされた体験を、絶対笑い話にしてやろうって決めたんですよ。ずっと「俺何やってんだろう、だめだ」ってなっていたら人生つまんないし、ポジティブに考えていきたいから、去年の9月からブログを始めました。

初めての記事がぼったくられた体験を書いた記事です。ぼったくられてから3ヶ月後に記事を書いたんですけど、それまでぼったくれた経験が恥ずかしくて…

でも、もう笑い話にしてやろうって。大学生には、僕みたいにぼったくられる人がいると思うんですよ。そういう人たちにエールを送りたいって思い始めたら、失敗をポジティブに捉えられるようになりました。「この12万円ぼったくられた経験が俺を変えた」と将来思うことができれば、報われるなと思ったんです。

ーブログを公開した後の反響はいかがでしたか?

地元や大学の友人からたくさんLINEがきて、「お前のブログめっちゃ面白いな」って言われましたね。高校の時は大学受験ブログを真面目に書いていたんですよ。でもその時は、自分の文章は全然うまくないなって。でも大学で文学部でたくさん本を読むようになり、「人生で初めてちょっとだけ文才があるかも」と思える文章が書けるようになっていた。

文才があるかもしれないと思ったら、自己肯定感が高まるし、自分の失敗や考えを語ったらみんな楽しんでくれるんじゃないかなと思って、そこから狂ったようにブログを書くようになりました。

 

ネガティブな過去でさえも未来に昇華。前を向く強さはどこからくるの? 

ー自分の失敗談をブログに書くことで、いつか笑い話にしてやろうと方向性が決まったわけではなかったと思うんです。ブログを公開する前に、篠塚さんが日本中をひとり旅したとのことなんですけど、それはどんなきっかけがあってひとり旅に出ようと考えたのですか?

ひとり旅に出たのは、大学2年の夏休みです。夏休みにひとり旅に出た理由は、ぼったくられてお金がなくなって、死ぬほど働いて暇だったから。あとは103万円の扶養を7月の段階で超えそうになっていて、お金も時間もあったからひとり旅をしようかなと。

青春18切符を買ったり、ヒッチハイクをしたり、とにかくいろんな場所に行きました、でもひとり旅に飽きちゃったから友達と合流して、東京から宮城の石巻に行って、岩手の陸前高田に行きました。陸前高田には震災の時に残った奇跡の一本松があって、そこに行けば、何かがあるかもしれないと。

道中はヒッチハイクをしたんですけど、その時に、NPO法人の方に出会った。「明日たこ焼きパーティをするから子供たちと遊んでほしい」って条件で、車に乗せてもらうことができたんですよ。

子供たちと遊んでいた時に、罰ゲーム付きのババ抜きをやって、僕は「なんでもやってやるよ」って子供たちに豪語しました。そしたら小学生の子供に、「千葉まで歩いて帰ってほしい」って言われたんですよ(笑)

ーええ!もしかして本当に帰っちゃったんですか?

あ、はい。帰りました(笑)
言われたことは「なんでもやる」って言っちゃったし、あと暇だったし…

この話には続きがあって、陸前高田で奇跡の一本松を見た時に、震災で津波が来た時にそれでもなお立ち続けた奇跡の一本松みたいになりたいと思ったんです。岩手から千葉まで歩き切ったら奇跡だなと思ったんですよ(笑)

歩いて決めてからすぐに荷物を郵便で家に送ったんですけど、親には「お前何やってんだ。電車賃出すから電車で帰ってこい」と言われました。

でも、「俺は強くなりてぇんだ」と親の提案をはねのけて、11日間かけて440km歩きました(笑)

ー11日間かけて440キロも歩いたんですか!すごすぎる…その経験で変わったことはありますか?

11日間も歩き続けたら頭がおかしくなるんですよ。頭も精神もおかしくなるし、ずっとブツブツひとりごとを喋ってました…でも歩いている時に、頭がおかしくなって、「俺は将来有名になるな」って。有名になった時に、自分の経験を面白おかしく語る人間になろうと思って、ブログを書こうと思った。

9月の頭に歩いて、千葉まで歩き切ることができたらブログを始めようって。

ブログでたくさん自分の経験を書いて、将来自分が読み返した時やいつか有名になった時に、「篠塚さんもこういう過去があったんだ「っていう記録を残しておきたかった。ひとり旅があったからブログを書きたいって気持ちになったし、もっとたくさん面白い経験をして、友達を笑わせたいって思ったんですよ!

ー子どもたちの罰ゲームで生まれた旅ではあったものの、そこには大きな意味があったのですね。

子どもたちはまさか俺が千葉まで歩き切ったとは思ってないだろうし、俺のことなんか忘れてると思うけど、男に二言はないし、やると決めたことは最後までやり通したかった。

岩手から千葉まで歩くのは多分みんなができないこと。想像よりも辛いし、寝るところもない。でも自分は強くなりたかったから、歩道橋の下で寝たりしていました。あと夏の日中に歩くのは暑かったから夜中に歩いていたんです。誰もいないところで音楽をかけて歩くのが楽しかったし、昼間にご飯食べるために食堂とかに行きました。

ヒゲも生えてたし、清潔感がないからいろんな人に心配されて。事情を説明したらみんな笑ってくれて、携帯を充電させてくれたり、「ちょっと寝ていきなよ」って、布団を貸してくれたりとかその時に「周りの人が自分を助けてくれる」って気づきました。

ー株式会社BasicIncomeのベーシックインカム受給者の第1号になるとのことなんですけど、どんなきっかけでベーシックインカムを知ったのですか?

去年の3月にツイッターでたまたま「毎月20万円あげるから日常をドキュメンタリーで撮りたい」って企画がタイムラインに流れてきたのがきっかけですね。これに受かったら人生が面白くなるなと。毎月20万円をもらって自分の人生がドキュメンタリーになったら面白い。夏に一人旅をしていた時に思っていたことと繋がって、「俺はこの企画で有名になるんだな」と。神様が篠塚康介をベーシックインカムシネマズで有名になると仕向けたとその時は天命みたいな物を感じた。

それが大学3年生の時。もともと大学3年生の時に中国に留学に行くつもりだったんですよ。人生面白いことをしたいから、一人旅でたくさん歩いた後に、中国を歩きたいと思って。大学は中国文学を専攻しているので、中国の大学に留学の応募をしたら受かっちゃって。中国に行って、中国語をペラペラになるか、毎月20万円もらってAV男優になるならどっちが面白いかを考えた。そしたら「中国に留学に行くのは誰でもできるけど、毎月20万円もらってAV男優になるって誰もできないなって。

サンボマスターの「できっこないをやらなくちゃ」を聞きながら、僕はAV男優になる決意をしました。

 

不安がないとか嘘。僕は不安を抱えたまま乗り越えていく

ーAV男優になるは今までのお話に出てこなかったんですが、いつ頃からAV男優になろうと思ったんですか?

ブログを書いてる初期は、ずっと強さを履き違えている単なるバカやろうだったんです。バナナのコスプレを着て、大学でバナナを配る」、「夜中に山を登る」とか、強くなるためにとにかく変なことばっかやってましたた(笑)

去年の1月に友達と「沖縄の風俗に行って、どっちが面白いブログを書けるか勝負しようぜ」ってなったんですよ。えっと、風俗のレビューを実名顔出しのアカウントで書いたんですよ。男友達がいきなり実名顔出しで、風俗ブログの体験を書いたら怖くないですか?

「うわ、なんだこいつ」って思うと思うんですよ。大学のコースの女子には絶対全員から嫌われるのが確定していると思いながら、やるしかないと、そのブログがもうめちゃくちゃうけた。

去年の1月から3月ぐらいまでずっと風俗に通い詰めて、それをおもしろおかしくブログに書くことにハマってた時に、台湾に語学研修として3週間だけ行ったんです。

その合間に台湾の風俗に行って、風俗の体験を記事に書いてました。あと台湾のバスに乗っている時にゲイの人に痴漢にあって。ブログのネタのために、ずっとわざと痴漢されてたんですけど…その時に「男ともSEXできるな」と思っちゃった(笑)

自分の中で色々話が繋がって、「風俗ブログを書く」、「男とSEXができるかもしれない」という仮説、その時に自分はエロに特化した男になろうって。

AV女優という甘い言葉に騙された童貞の僕が、AV男優になってAV女優とSEXできたらこんなサクセスストーリーはないでしょ。これが僕の「サクセスSEXストーリー」。略して「3S」と呼んでるんですけど、漫画とか映画になりそうだなって。騙された童貞がAV男優になるなんてこんなに面白いことはないと思ってる時に、株式会社BasicIncomeの企画がTwitterで流れてきた。

ータイミングがばっちりだったんですね。

そうなんです。大学3年生のみんな就活や留学に行くのにふざけんなと。そんな既定路線に自分は乗りたくないって若気の至りってやつですかね。どうしても自分にしかできない、誰にもできないことをやりたかった。早稲田からAV男優になる夢をどんだけバカにされるんだろうか、そしてたくさん批判されるんだろうなって。でももう不安がある意味楽しくなってきて、11日間歩いたり、バナナのコスプレでバナナを売ったりして、メンタルがバケモノ級に強くなった。

どんな批判があっても、絶対やりきる人間になれると、思ってAV男優になることを決めた。その時に「俺は早稲田からAV男優になるから、有名になるんだ」って思ったんです。去年の3月に思いました。

ー篠塚さんの過去がすべて繋がったのですね。周りが就活や留学をする中で、不安はなかったのですか?

うーん、不安がないことはないですね。早稲田に行くまでは、レールに乗っていた人生だったし、それこそ「東大に行きたいって行ってたやつがなんでAV男優?」ってなると思うんですよ。

僕は1人っ子なんですけど、親が学費をたくさん払ってくれて、そんな中でAVに出るってのがやりたかったんですけど、親を悲しませるんじゃないかとか、将来取り返しのつかないことになるんじゃないかと思った。「早稲田からAV男優になる」ってすごいリスクだと思うんです。

誰も選ばない道だけど、誰もやらないこと。そして、リスクを背負うから大きなチャンスなんじゃないかなと。誰かが決めた幸せでは自分は幸せになれないと思った。レールに乗った人生だと安定志向になってしまう。

早稲田の学生はみんな大企業を狙うんですよ。大企業に行く人を否定はしないんですけど、所属しているコミュニティを肩書きにするのはかっこ悪いと思った。僕は大企業の名前を看板にするのではなく、「篠塚康介」で勝負したかったんですよ。

不安がないとか嘘。俺だって怖いし、誰もやったこともないからアドバイスももらえないし、みんなにやめとけよって止められるからそりゃ不安しかないですよ。でも、有名になった人も不安がないわけがない。不安を乗り越えるからこそ有名になれるのかなと思ったからこそ、不安を抱えたままやってやろうと思った。

他人の誹謗中傷を、自分の原動力に変えていく

ー昨年の11月に実際にAV男優になられたわけなんですけど、実際に強い気持ちを持てたのはなんでだったと思いますか?

応援してくれる人もたくさんいたんですけど、実は応援してくれる人が力になったわけじゃなくて、俺をバカにしてきた人が自分の原動力でした。

風俗ブログがバズった時に、2chでスレを立てられて、「こいつの人生終わったな」とか「早稲田まで入ったのに、AV男優とか頭悪すぎだろ」とか誹謗中傷を受けまくってたんです。それがめちゃくちゃ悔しくて、「お前らなめんなよ」って思いながら、毎日自分の悪口を見てました。

実はLINEのメモに、自分を誹謗中傷してきたやつの内容を全部残してあるんです。あ、訴えるつもりとかさらさらないですよ(笑)そんなことはどうでもよくて、泣けるぐらい悔しいからそれがエネルギーになるんです。

LINEのメモを見たら毎日泣くことができるし、朝から夜までずっと悔しい思いをしています。人間は、信念がないとすぐに怠けちゃうんですよね。でも、俺は絶対に有名になりたかったから、悔しさを原動力にするために、あえて毎日悔しさを味わってました。

ーなるほど。篠塚さんがAV男優として実現したいことや性に関して思うことはありますか?

AV男優に関しては、コロナがきっかけで出演が減って、その中で恋人ができたんです。

恋人は僕の応援をしてくれてるんですけど、恋人がAV男優だったら嫉妬とかすると思うんですよ。AV男優はSEXもできるし、お金を稼げるいい職業だなと思ったんですけど、恋人を傷つけてまでやるのは違うなと。だから今はAV男優はやっていないんです。

ただAV男優をしている時に、意識していたことはSEXで人を動かすんじゃなくて、SEXの前後のストーリーで人を動かしたいと思っていました。ただAVに出るんじゃなくて、どういう気持ちで自分がAVに出たのか、

そして、見てくれる人がどうやったら楽しんでくれるかを意識しながら出演していた。自分にしかできない方法で人を楽しませたかった。例えばAVの出演が終わった後に、Twitterで「めっちゃ気持ちよかったわ」と言いながら、歌を歌う配信もしてました。とにかく人を楽しませることばかり考えてました。

ー最後に、篠塚さんの今後の方向性もしくはやりたいことを教えてください。

僕は「できっこないをやらなくちゃ」ってモットーに崩したくなくて、有名になりたいと思った2年前と比べてこうやって取材をしてもらえるぐらいには有名になったと思うんですよ。

でも常に自分は何も成し遂げていない、まだどん底だと自分を誹謗中傷してきた人の投稿を毎日見て、悔しさをバネに挑戦していきたいなと。挑戦をしなくなったら、人生がつまらなくなる。どれだけ失敗しようが、どんだけ笑われようが、挑戦しているやつはかっこいいと思っています。

「人生つまんないんだよね」って言ってる人と一緒にいてもつまらないし、それよりも「人生最高」って言っている人と一緒にいたいと思うから、「できっこないをやらなくちゃ」にずっと挑戦していきたい

今の自分に「できっこないをやらなくちゃ」は、日本にベーシックインカムを導入すること。

大きな夢はあるけど、時間やお金がなくて挑戦できない若者。僕みたいに世間体を気にしている人がいると思うんですよ。でも、僕は株式会社BasicIncomeに20万円をもらって、アルバイトをやめて、自分のやりたいことを思う存分やれるようになった、

今はインターン生っていう肩書きなんですけど、肩書はどうでもよくて、自分が社長だと思っています。日本でベーシックインカムを広めるのは社長の池内慶ではなく篠塚康介だと。

日本政府がやらないなら俺がやってやる

自分のやりたいことに挑戦して、みんなに「人生は最高だ」って思ってほしい。

だから、ベーシックインカムの導入を日本に実現することが僕の今の目標です。 

ー篠塚さんの、今後に活躍に期待しています。本日はありがとうございました!


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取材:あおきくみこ(note/Twitter
執筆・編集:サトウリョウタ(note/Twitter
デザイン:五十嵐有沙(Twitter