「ウミガメをきっかけに、ITに興味を持った」データサイエンティスト 兼 POTETO Media CTOの藤田健登が目指すところとは

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第106回目のゲストは、大手通信会社にてデータサイエンティストとして働きつつ、副業で株式会社POTETO MediaのCTOも勤める藤田健登さんにお越しいただきました。

学生時代にウミガメの国際学会で最優秀賞をとった経験を持つ藤田さん。しかし、現在はパラレルキャリアというかたちでITの仕事をしています。一体どのような経緯でITの仕事に興味を持ったのか、お話を伺いました。

本業はデータサイエンティスト、副業はベンチャー企業のCTO

ー本日はよろしくお願いします。さっそくですが、藤田さんは現在どのような仕事をしているのですか?

大手通信会社で、データサイエンティストとして働いています。具体的な仕事内容としては、GPS情報で集めた人の位置データを分析することです。人がどこで、どのように動いているのかを把握することで、それをビジネスに活用できないかを模索しています。

また、副業として「株式会社POTETO Media」という会社のCTOもしています。

ー副業もしているんですね。POTETO Mediaではどのようなことをしているのですか?

POTETO Mediaは、政治の広告代理店として有権者に政治をわかりやすく知ってもらう活動をしています。なかでも私は、選挙の分析・SNSの分析・アプリ開発などを担当しています。

主に携わっているのは新事業の「POTOCU」です。これは、補助金や助成金などの情報を適切な人に適切に届けるためのサービスです。これらの情報は非常にわかりにくくて、上手く利用できていない人が多いのが現状。そのため、そういった方に少しでもわかりやすい情報を届けられるように、日々取り組んでいます。

ー素敵なサービスですね。どのような経緯でPOTETO Mediaに加わったのですか?

新橋で飲んでいたら、本業の同僚でもあるPOTETO Mediaのメンバーに夜、新宿に呼ばれまして(笑)

話を聞くと、新事業を始めようとしていて「ビジネスアイディアを見てくれ」と言われたんです。「明後日、海外の人に発表することになったから今すぐに見てくれ」と。

AI関連の事業なのですが、当時POTETO MediaにはAIの知識を持つ人がいなかったので、このアイディアは実現可能なのか教えてほしいと言われました。急な依頼で非常に驚いたのですが、次々と質問に答えていくうちに自分も面白さを感じていました。

その日はそれで終わったのですが、翌週に社長からご飯に誘われて「うちに入らない?」と言われたんです。ちょうど生活に物足りなさを感じていたので「ぜひ一緒にやらせてください」と即答すると、すぐにオフィスに出社してその場で契約書にサインをしました(笑)

ITに興味を持ったきっかけはウミガメ

ー藤田さんはテクノロジーを中心に仕事をされていますが、もともとITの知識が豊富だったのですか?

いいえ、学生時代はウミガメの研究をしていました。大学3年生のときから研究をスタートして、それからは「ウミガメだけの生活」をしていました。

もともと動物が好きだったので、動物の研究がしたいと思っていたのですが、大学には昆虫の研究室しかなく…。しかたなくその研究室に入ったのですが、どうしても動物の研究がしたいと悩んでいました。そこで「昆虫に興味がない」と素直に先生に伝えると、ウミガメの保全活動をしているNPO代表の方を紹介していただきました。そこからウミガメの研究を始めることになったのです。

ーそうなんですね。具体的にはどのような研究をしていたのですか?

無人島に住み込みで、砂浜で産卵に来るウミガメを待ち伏せていました。ウミガメの数をかぞえたり、背中にセンサーをつけて行動を追う日々。「ウミガメはここで餌を食べているんだ」「ここで寝ているんだ」など、位置情報からウミガメの行動を予測していました。

長いときは3〜4ヶ月ほど、島に住み込んでひたすら調査をしていたときもあります。

ーそれはすごいですね! なぜ、そこまでウミガメに没頭できたのですか?

せっかくなら研究でしか関われない、レアな動物に触れたかったからですね。実際に研究してみると「ウミガメって面白いじゃん!」と思い、没頭することができました。

挫折しかけた大学院時代

ー順風満帆な学生生活だったように見えますが、挫折のような経験はしましたか?

ウミガメの生態は、だいたい研究しつくされています。そこで「ITの技術を使えば新しい発見ができるのでは?」と感じたことをきっかけに、京都大学大学院の情報学研究科に進学をしました。しかし、まったく授業についていけず…。もともと学部時代は農学部のような授業を受けていたので、プログラミングの知識は皆無で、本当に大変でした。

また、夏ごろになると授業を受けて、遠くの島で研究をしながらインターン選考を受けるというハードスケジュールで…。しかも研究の影響で昼夜逆転の生活になっていたので、なかなか辛かったですね。

ーなるほど、それは大変でしたね…。どのようにして乗り越えたのですか?

周囲には優秀な人が多かったので「周りを見返したい」という強い気持ちが大きな要因としてあります。また、ウミガメの研究をしたくて情報系の勉強を始めたので、何かしらの成果は残したいという気持ちもありました。なので、研究室に泊まり込みで専念していましたね。

結果的にウミガメの国際学会では、日本人で10年ぶりに最優秀賞をとることができたので、努力が実って本当によかったです。

ーすごいですね! 最優秀賞をとれた要因は何だったと思いますか?

新しいことに挑戦できたからですね。ウミガメの国際学会では過去に「ウミガメ×IT」で発表している人があまりいなかったので、それがもっとも大きな要因だと思います。

「ウミガメにセンサーつけたら面白いだろうな」という好奇心から始めたことですが、コツコツと努力してきたことが報われました。

これからは、選択を「広げる」から「定める」へ

ーウミガメの研究をした後に、なぜ大手通信会社に就職されたのですか?

正直、博士課程への進学も検討していました。しかし、ウミガメの研究はなかなかビジネスにはつながらないのが現実。お金が集まらず、研究をするのに苦労している方が多いのです。尊敬している先輩方でも苦労しているのに「果たして自分はやっていけるのか」と不安に感じました。

そこで、インターンシップなどでインフラ・コンサル・メーカーなど、さまざまな業界を見ていたのですが、あまり「ここに就職したい!」と感じる会社がなくて…。将来どうしようかと迷っていたところ、たまたま今本業で働いてる会社の人事と話す機会がありました。話をするうちに、社員の人柄や会社のビジョンなどに惹かれて「ここに就職したい」という思いが強くなったんです。

また、ウミガメの研究で位置情報をもとに分析をしていたので、データ分析の仕事に興味を持ったという経緯もあります。通信会社なので、携帯で特定できる位置情報をもとに、行動ログを分析してビジネスに応用したいと思いました。

ーそうなんですね。今後はウミガメの研究はしないのですか?

そこは正直迷いどころですね。今でもウミガメは好きで、もう一度研究したい思いもあります。一応、最近でも教授とコミュニケーションをとったり、ウミガメの保全活動に参加したりしています。

ただ、本当に研究をするのであれば尊敬している先輩や先生方に追いつく、もしくは追い越すぐらいの気持ちがないとダメなので、当面は研究に関しては保留ですね。

ーなるほど。これから先は何をしたいのですか?

正直まだ決まっていないです。今までは興味のあることに挑戦をして、将来の選択肢を広げていました。しかし、これからは徐々に選択肢を「広げる」から「定める」に移行していきたいと考えています。そして、それが今年なのかなと。

自分のリソースをフルでどこかに投入したいと考えています。

ーこれからの活躍が楽しみですね!本日はありがとうございました!

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取材:西村創一朗
デザイン:五十嵐有沙
執筆:下出翔太