ニートから会計士へ。お金と時間の自由は「人生の逆転プラン」で手に入れた

 

色々なキャリアの人たちが集まり、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。
第60回目のゲストは、Twitterを中心に、会計クイズが人気を博す、大手町のランダムウォーカーの中の人をお呼びしました。株式会社Funda 代表取締役の福代 和也さんです。福代さんが手がけるのは、日本人全員が企業の財務諸表が読めるようになるコンテンツ「会計クイズ」。
取っ掛かりにくい会計も、分かりやすいビジュアルで学べるようになっています。

未発達な会計分野の教育に乗り出した福代さんに、キャリアの歩みを伺いました。

 

ニートからの一念発起。運命を己の力で変えた「人生の逆転プラン」

大手町のランダムウォーカーとし出版した著書

ー今日はよろしくお願いします!福代さんは、普段何をされているんですか?

福代和也(以下・福代):株式会社Fundaを起業し、会計・ファイナンスに特化した、教育系プロダクトを作っています。会計クイズのようなコンテンツをはじめ、法人向けの研修ツールも作っている段階です。この研修ツールは、勉強会で会計や決算書の読み方を学んだ人のその後を追っていき、実際の勉強効果を可視化するようなもので、既に数社とテスト実施をしている段階です。その他にも新規事業の立ち上げやマーケティング周りのコンサルもしています。

ーもともと会計士を目指したきっかけは?

福代:21歳ぐらいの時に一度外れてしまったレールから戻るためのプランを立てたことがきっかけです。18歳から21歳頃までニートで、ずっとオンラインゲームをして遊んでいました。僕がはまったのは戦争系のゲームだったんですが、自分の作ったチームメンバー約600人ぐらいを率いて戦争の指揮官をしていたので、同年代の友人が大学に通う中、戦争の実務経験をひたすら積んでいましたね(笑)。まじで楽しかったです。

再起のきっかけは、東日本大震災あたりでした。世の中が苦しんでいる中、自分はこんな状態でいいのか?という気持ちになりました。そこで高卒から一度外れた人生のレールを戻そうと思い立ちました。僕は当時高卒で、手持ちの武器が何も無い状態でした。その状態から人生のレールを元に戻すためには普通の成果では少し足りないと思い、目を付けたのが公認会計士の資格でした。

ー候補に会計士?

福代:進路に迷ったんですが、プランを立てていく中で、中途半端な資格を取っても、一度外れたレールを元に戻すのは難しいなと思っていました。どうせ本気でやるなら…と、難関資格を上から並べて、一番自分に合うものをやろうかなと。上から医者、弁護士、会計士だったんですけど、会計士だけ誰でも受験可能で経営にも興味があったため選びました。

ーなるほど。そこから受かるもんなんですね

福代:因数分解とか方程式のところから始めたので結構大変でしたね(笑)
高校生の時の偏差値が40ぐらいで、勉強は20年近く生きてきてほぼ何もやっていなかったんですよ。

高校はスポーツが強い高校で、当時はアメフトをやっていたのですが、高校で完全に燃え尽きてしまい、大学は学力で行くことを選びました。ただ、アメフト部の引退が3年の12月とかだったので、当然勉強する時間もなく、現役で大学に進学できずに卒業後は浪人生という形でフラフラしていました。

ーすぐに大学受験は考えなかったんですか?

福代:する選択肢もあったんですが、21歳頃から再び大学受験をしても卒業が26歳を超えてしまうと思い、人生の選択肢が狭まると感じ、自分の技術を磨く方に進むべく資格を取ることを決意しました。

ー逆転プランを立ててから、会計士合格までどのぐらいかかったのですか?

福代:24歳と25歳の間に合格したので、3年半ぐらいかかりました。
一次試験は比較的短期で受かったのですか、基礎学力が皆無のため日本語が使いこなせず二次試験の筆記試験にかなり苦戦しましたね。僕は大学を経ずに大学院を出ているのですが、会計士試験は大学院在学中に合格しました。

大学院へ飛び級。「自分にしか提供できない価値」は何か。

ー大学院に飛び級ですか!?

福代:会計士の勉強をしている途中で、会計士業界の就職氷河期みたいなタイミングにあたってしまったんです。当時「大学を出ていないと資格を取ったとしても就職が難しい」と言われてしまい大学に入り直すことも考えました。ただ、大学に入り直しても卒業が26、27歳は遅すぎてしまうと思い手が詰まりました。そんな時、色々調べている中で、同世代の人が大学卒業後に大学院に行くという話を聞きました。そこで初めて大学院というものの存在を知ったのです。

ーそこからすぐ入学できたんですか?

福代:大学院に直接問い合わせて営業みたいなことをして入れました。様々な大学院を色々調べて、「募集要項」などを確認したところ、「4年生大学卒業」などの下に「その他」という欄を見つけ、「その他」に僕はカテゴライズされますか?と大学に問い合わせてみました。問い合わせた結果、「大学卒業程度の学力があると見なしたら院試を受けることができる」という特別措置をいただきましたので、学力審査や教授たちと面接をし無事特例で大学院へ入学することができました。

ー大学卒業程度の学力って曖昧ですよね。

福代:もともと日商簿記一級と公認会計士の一次試験は受かっていたので、大学卒業以上の学力があるという評価を頂き受験資格は頂けました。あとは、僕の行った大学院は社会人の学生が中心で、大学院側が色々な背景や年齢の人たちとディスカッションすると深まるという意図で面白がって入れてくれたんだと思います。当時、社会人大学院の中でも僕は最年少でしたし。

ー変人枠だ(笑)実際、大学院時代は、どうでしたか?

福代:キャンパスライフ的な楽しみ方はなく、一瞬で終わりました。僕以外の最年少は当時29歳ぐらいの人で、 当時の僕は23歳。65歳とか経営者幹部の人たちの中で力の差は歴然とし、背伸びして同じような話をしても絶対に勝てないと思い毎日が劣等感との戦いでした。

やっぱり圧倒的に年下だからといって、貰いっぱなしは嫌だったので「10貰ったら1は最低でも何か返す」というスタンスで、自分が渡せるものは何かというのを、意識し続けていました。

「僕が社会人の方達に提供できるバリューは何か」というのをずっと2年間考え必死で勉強してましたね。

ーそのマインドは、今でも生きていそうですね。

福代:貰いっ放しの関係は絶対に成り立たないと思っています。
お互い貰ったり渡したりの関係でしか、関係は成り立たないと思っているので、その経験は今でも生きていますね。

ー公認会計士の就活はどんな感じだったんですか?

福代:僕が受かったタイミングで景気が好転し就活は楽でしたね。売り手市場になっていたので、選び放題みたいな感覚でした。

追いつくために、同じ環境に身を置いてみる。

ー最初に入社したのが、PwCあらただったんですね?

福代:そうですね。僕は就職時24、25とかだったので、同年代の人と2年遅れている状態で焦りがすごくあったんです。会計士の方達は本当に頭の良い人が多く、地頭で劣る僕が、彼らとよーいどんで同じことをしてもすぐに差を付けられることは目に見えていました。
なので、ファーストキャリアは監査業務ではなくコンサル業務を選びました。もともとコンサルやアドバイザリー業務というものに興味もありましたし。

ー事務所に入ってみてどうでしたか?

福代:めちゃくちゃ大変でした。僕が入ったチームは少数精鋭でマネージャーも先輩も超優秀でした。クライアントと近い現場だったため、初日からクライアント対応したりもしていました。緊張もしたし何よりお客さんの前にでたら新人もベテランも関係なく対応する必要があったので最初の1年目がすごく大変でしたね。

ープレッシャーとかは、どんな風に乗り越えたんですか?

福代:自己研鑽はずっとしていました。入社同期の飲み会とか実はほとんど行ったことがなく寂しい社会人1年目でしたね。少しでも手を緩めたらすぐに周りの人と差を付けられるという恐怖から暇があれば知識を付けたり自分の技術を磨いていました。また、当時現場の直属の先輩につきっきりで教えてもらっていたんですが、このままではいつまでたっても背中すら見えないと思い、入社三ヶ月後ぐらいから、先輩と同じシェアハウスに住みはじめました。

ーすごいですね・・・。頼みこんだんですか?

福代:そうですね、同じ環境に身を置かないと一生追いつけないと思いました。その先輩と同じ空間で生活することで、思考フローレベルまでトレースする気持ちでしたね。

入社した初日、OJTの先輩から「1、2年後に俺はいなくなるから、1年後には俺ぐらいのレベルになってほしい」と言われたんです。初日に退職届データベースのアクセス方法を教わったりと色々面白かったです。
本当に今まで会った人の中でもトップクラスの実力で死ぬほど優秀な方だったので、この人に付いていけば間違いないと思い生活環境まで合わせにいきました。

ー徹底してますね。ストイック。

福代:当時、その先輩の行きたい企業に僕も興味があったため、転職活動の壁打ちや情報収集なども一緒にやっていました。
目標とする先輩がどのように転職活動をするのかを間近で直接学ばせて貰っていました。
実は、その転職活動の準備の中で生まれたのが会計クイズの原型なんですよ。
転職活動の面接試験のために、企業のビジネスサイドの知識が求められ、ビジネスを数字から話せるようになるためにはどうしたらいいか?試行錯誤していました。

ー財務諸表を読むための適切な教材を、自分たちで作り始めたと

福代:簿記試験や会計士試験の問題は、あくまで試験のために試験委員の方が作成した仮想の企業の財務諸表のため、財務数字のバックにはビジネスの事象が存在しないです。そのため試験問題が解けても会計用語や指標の算出方法は分かるようになるだけで財務諸表が読めるようになるわけではないんですよね。なので、財務諸表を読んでも「どうしてその数値になっているか」の理由が当時は読めきれない状態でした。財務諸表を作る能力と、財務諸表を読む能力は全く別のものだと自覚した瞬間でした。では、どうしたら本当の意味で財務諸表が読めるようになるのかを考えた結果、実際の生きた財務諸表を読みまくるしかないなと当時強く思いました。

ーそうだったんですね…おもしろい

福代:SNSで財務データを発信してどこの企業かを当てるというのは、当時ありそうで無かったので僕たちもとても面白いと感じました。
初めてTwitterで出した時の反応がかなり良くて、嬉しい反面、僕たちがこれこのままやらなかったら3年以内には似たようなコンテンツが出てくるなーとも思いました。
転職活動に集中するか、コンテンツをより大きくするかで迷った挙句、転職はこの先の人生でタイミングさえあえばいつでもできるし、コンテンツのグロースに今一番近いところにいると思ったので、コンテンツをより拡大させることに集中することにしました。

ー会社は、当時の先輩とやっているんですか?

福代:もともと先輩とやっていたのですが、途中でお互いの方向性が変わり、お互い別の道に進むことにしました。今は会計士受験時代から仲の良かった優秀な友人とコンテンツの精度を日々高めています。先輩とは道は違いますが、またどこかで一緒にやる機会もあるかもしれないので、その時のために、今度は少しでもこちらのGiveが多くだせるように自分の技術と知識は高め続けています。

努力は夢中には勝てない。

ー独立を決めた時、フォロワー数は結構いたんですか?

福代:決めた時、フォロワーは2000、3000人とかでしたね。会社を衝動的に辞めてしまったので貯金も0で収入も0。残されていたのは有給の1か月だけでした。

自分は、怠ける癖があるので追い込まれないと基本的にやれないんですよね。
だからこそ、追い込み方を考えた結果、1ヵ月以内に何らかの方法でマネタイズできないと家賃の支払いなどが出来なくなる状態で、起業1年目をスタートさせました。
最初は、シェアハウスの友人達を集めて500円ぐらいで会計クイズの勉強会から始めてましたね(笑)

ーよくここまで伸びましたよね。

某上場企業での勉強会の様子

福代:ハマりさえすれば夢中になる癖があるんです。そのために、どうやって「ハマるか」「夢中になるか」の施策を考えるところから始めました。夢中になるために、どんな施策や心構えが必要かは何をするにしても意識しています。
企業分析は本当にハマっているので、誰に言われることなくやり続けられます。
企業の財務諸表を見るのは趣味ベースの感覚なので楽しいです。その自分の面白いと思った発見を世の中に発信することで、多くの人に楽しんで頂けるおとほど幸せなことはありません。つらいとかは、ここ数年1度も無いですね。

ーすごいです。夢中になる施策とは・・・

福代:誰からも強要されずともやり続けられること。それ自体を心の底から面白いと思えるかどうかですね。
毎週会計クイズを3~5問作っていてそれを3年近くやっていますが、「会計クイズよく続くね」とよく言われます。夢中になって本気で面白いと思っていなきゃ流石に続けられないですね。いかに自分を夢中にするかが僕の中での重要な思考法。
努力は夢中には絶対勝てない。努力しなくても自走出来るかが大事だと思っています。

ー戦い方の戦略の立て方がうまいですよね。

福代:僕、戦略立てるのがめっちゃ好きなんですよね。高校の頃やっていったアメフトは、戦略が前提のスポーツでしたし、ニート時代にしていた戦争ゲームも指揮官をやりながら敵の動きとかを予想し戦略を立ててゲームしていました。僕からしたらマリオカートも戦略ゲームで、3週目のゴール前の状況を1、2周目の間に組み立てるゲームだと思っています。

SNSも運用構想をアカウントを作る前に構築して、その通りに進めていました。
インスタグラムを昨年から始めたのですが、アカウントを作る前にはフォロワー1万人までのプランをすべて立ててそれ通りに実行したりしていました。

どうやって立てればいいんですか?

福代:まずは自分の武器は何かを常に考えています。僕よりも優秀な人と「よーいどん」で一緒に何かをスタートしても、大抵すぐに差をつけられてしまいます。なので、他の人と比べて自分が優れているものはなにか?勝率が高いものは何か?は考えたりしています。
自分の手持ち武器はいつも認識できるようにしていますね。僕の持っているメインの技術は会計知識はもちろん、資料を作るデザインの知識、資料を高速で作成するExcel、パワーポイントの技術、作った資料をアウトプットするプレゼンの技術やSNSで発信する技術など。そのなかで、どのスキルを磨けば一番自分が成長できるのかという成長ドライバーポイントは常に把握しておくようにしています。

ー最後に、福代さんの今後のプランを教えてください。

福代:20歳の目標は「お金と時間を手に入れる」だったのですが、ニート時代と比べてお金も一般的な生活が送れるぐらい得られるようになりましたし、時間も好きなことができる程度の時間を得ることはできるようになりました。なのでこれからもこの2つは維持していきつつ、30代はこれに「知識と経験」をより身に付けられるような環境に身を置き続きたいですね。複数のやりたいことの選択肢が並列したときは、知識・経験がより得られるものを選んでいきたいです。今のところ会計クイズに勝る選択肢がないので多分まだまだやるだろうと思います。このコンテンツのゴールは、義務教育に会計やファイナンスをはじめとしたお金に関する教育を入れ、本当に日本人全員が財務諸表が読める世界にすることです。僕自身が一度社会のレールから外れていて、レールから外れた人間が元に戻る大変さを一番理解しています。なので、周りの人に恵まれ運よく外れたレールから元のレールに戻して貰った者の責務として、1人でも多くの人に「会計」という武器を配りたいですね。

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取材・編集:西村創一朗(Twitter
執筆:りっちゃま(Twitter)
デザイン:五十嵐有沙(Twitter