「社会と自分に絶望していた」学生フリーランス・りっちゃまが、劣等感をエネルギーに変えていくまで

ユニークな大人が集まり、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第61回目のゲストは法政大学4年生で、ビジネスインサイダージャパン インターンの三田理紗子さんです。

神奈川県出身の三田さんは、現在、法政大学社会学部社会学科の4年生。インターンや学生フリーランスとしてライターやSNS運用をする傍ら、Twitterで愛称「りっちゃま」として、noteでの発信、ライブトーク企画など周りを巻き込みながら等身大の言葉を届けています。

明るく笑いながら「劣等感はわたしの源」と、ネガティブなワードを使うことも恐れないりっちゃまさんに、夢の通過地点である「今」感じていることを聞きました。

足並みは揃えない、学生フリーランスの選択

ーまずは自己紹介からお願いします。

三田理紗子です。周りからは「りっちゃま」という愛称で呼んでもらっています。神奈川県出身の21歳で、大学に通いながら、学生フリーランスとして仕事をしています。また、ビジネスインサイダージャパンというメディア運営会社で記者インターンも行っています。

ーフリーランスとしては主にどのようなお仕事をされているのでしょうか?また、どういったきっかけで始まったのですか?

数社と業務委託契約を結んでいて、SNS運用や文章の編集などを行っています。

長期インターンは、これまで2社で経験してきました。フリーランスとして働いてみようと思ったのは今年に入ってからです。それまで両立してアルバイトもやっていたんですけど、バイトはやらないと決意し、フリーランス活動を本格的に始動しました。

しかし、早速3月で仕事が無くなりそうになり…。
やばいと思ってから、働きたい会社や個人に「なにかお仕事ありませんか?」とかなり営業していましたね。とにかく、自分の出来ることや価値をPRしました。
それがきっかけで、現在のフリーランス業務は続いています。

ーピンチをチャンスに変えられたんですね。4年生ということですが、就職活動はしていないのでしょうか?

今はしていません。実は、今年の秋から留学へ行く予定で、休学を検討していたんです。

もともと就活をしていたんですけど、昨年の12月に「ポジティブ休学」をテーマにしたイベントに参加したことから、休学という選択肢を考えるようになりました。留学にずっと興味があったものの、両親に相談することもできず、もやもやしていたんです…。

そんな中、イベントで「勇気ある人たちが人生の舵をきる」と聞き、図星だと思いました。正直、勇気がないから、ダラダラと周りに合わせ就活をしていたんです。

今でこそ「自分らしく生きているね」と周りから評させることもありますが、私は自身のことをずっと「いい子ちゃん」だと見ていました。大きな枠組みに沿って、社会という流れの上にいただけだった。レールを外れてみたいな、と。

日本は、一斉に入試をして、入学して、就活して、就職…。
なんでも足並みを揃えたがります。はみ出したら元へ戻そうと働きかける。
足並みを揃える風潮に対して、反抗心もありましたね。

ー就活はするんですか?

今はしていないだけで、来年すると思います。

村上春樹は、「30歳成人説」を唱えています。「30まではいろんなことをやってみて、30になってから人生の進路をはっきりと決めればいいんじゃないかと。」と。

焦る必要はないんですよ。

ー「いい子ちゃん」という風にご自身を表現しましたが、どんな高校生だったのでしょうか。

高校は、流れるように入学しました。

勉強が嫌いだったんですけど、あえて特進クラスという勉強が強制の環境に身を置くことにしたんです。ずっと友人にテストの点数を隠し、誤魔化すような自分が嫌いでした。
なので、きちんと勉強に向き合うことにしたんです。
高校3年間、勉強で毎日頭がいっぱいだった経験は、今でも活きていると思います。

夢中になれるものが欲しかった

ーその後、法政大学へ入学され、今は様々な形でご活躍されています。活動の始まりは?

1年生の頃は、サークル活動や恋愛や、一般的な大学生活を謳歌していました。
ただ、夢中になれるものがないことに対してコンプレックスを抱いていたんです。
趣味もなく、遊んでていいのか。人生が不安になっていました。

そこで、SNSやイベントを通じて、学外での交友関係が拡げてみたんです。それまで自分は受け身だったんですけど、能動的に人生を切り拓いている人たちを目にし、「積極的に動いてみたい」と思うようになりました。
当時は、SNSで目立つ学生が羨ましく、死ぬほど嫉妬していましたね。
何かやりたいと思うようになっていました。

そこで、まずイベントを開催しようと思いました。私は趣味がないのがコンプレックスだったので「趣味がある人と、ない人をマッチングさせるイベント」と思いつきました。

2年生に進級した春休みのことです。
会場を借りて、変わった趣味(ボクシング鑑賞やジーンズ収集など)を募り、いろいろな人に参加の声掛けをしました。

ーイベントはどうでした?

当初は友人と共同で主催する予定が、その友人に裏切られ、会場費も前払いで借金してて、始まる前はストレスでしたね。500円という参加費だったんですが、人が集まるのか心配でたまらなかったです。
でもイベントは無事満員で開催。終わった後のアンケートを見ると、全体の満足度がとても高く「面白かった」とみんな喜んでくれました。

ーそこから、どんな変化が起きたんですか?

大きな手ごたえを得ましたね。何より心に残っているのは「今、ここにいる人たちを楽しませているぞ!」という高揚感。人を巻き込むのが好きなことに気づきました。

ーいい経験ですね。

その後、2年生の夏休みは、短期インターンシップに参加しました。
北海道の当麻町に、一週間ほど観光し、SNSや当麻町のブログを使って魅力を発信するというプログラム。

当麻町はすごく魅力的な町でしたし、参加させてもらえたことに対して、きちんと還元したいという強く思ったんです。しかし、自分自身の発信力不足も感じ無力でしたね。
当時、SNSのフォロワーは30人ほど。いくら魅力を発信しても、狭い世界しか届きませし観光客は自分の力では呼べないと痛感しました。

まずは自分が力をつけないと、いいものを広められない。
悔しかったですし、説得力のある人間になりたいと思いましたね。

女性の働き方のモデルケースに触れた経験

ー現在メディア運営会社でインターンをしているのは、そういう原体験があったからこそかもしれませんね。2018年10月からはSHE株式会社でインターンを開始していますが、こちらはどういった経緯で?

SNSでSHEのことを知りました。SHE株式会社が掲げているビジョン「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」にとても惹かれ、応募しました。

半年ほどSHEが運営するスクールのリアルイベントの運営補助や、体験イベントの参加者へのヒアリングなどを行っていました。

ベンチャー企業でとてもスピード感をもって動いていたので、注意されていたんですけど「分からないことはちゃんと分からないって言わないと。甘えてるんじゃないよ」と言っていただいた経験があって…。
自分のことをちゃんと言ってもらえる環境はとても有難かったです。

ー他に得たことはありますか?

SHEのターゲット層が社会人女性なので、女性たちの悩みや目標に触れられたのはいい機会でしたね。。

わたしは双子の兄がいるんですけど、期待のされ方などから「女性」に敏感でした。
また母親が出産を機にパートになっていたので、「家庭優先」という生き方に疑問を持っていたんです。

現在の女性の悩みは、自分が抱くかもしれないものなので、今後の自分をリアルにイメージする材料をたくさん貰えました。

バズの先で、自分で書いたものに追い込まれる

ーSHEでのインターン在籍中の2019年1月に書いたnote「現役女子大生のインスタ消費文化論」が反響を呼んでいましたが、当時の心境はどうでしたか?

3時間で書いた記事なのに称賛されすぎて驚いていましたね。
noteでは1000以上のスキをもらい、NewsPicksにも取り上げられて、たくさんシェアされました。初めて自分の力でお金をもらい、嬉しかったんですが、すぐに怖くなりましたね。

自分の知らないところで知らない人が「天才だ!」「すごい女子大生!」と言われることに違和感を覚えたんです。自分でも力作だと思って公開したわけではなく…。

予想を超えた反響でフォロワーも増え、どこか消費されているような感覚を持ちました。「次は何をするの?」と期待や、何かを求められている気がして…。
自分の書いたものに追い込まれ、何者でもない苦しさとSNS上での何者かになった感じは、地に足がついていない感覚でした。

認められる場所で自分を前より好きになれた

ーどうやってその感覚を乗り越えていったんですか?

乗り越えきれたのかは、分かりません。ただ、現在インターンとして在籍しているビジネスインサイダーのおかげで、自分を信じて、自分らしくいようと思えています。

ービジネスインサイダーでインターンするきっかけはなんですか?

SNS経由でビジネスインサイダーの記者の方と繋がり、すぐに会うことになりました。
当日、副編集長の滝川さんもいたんです。
滝川さんはキャリアウーマンでかっこいい女性という印象でした。
新聞社で長年働き、子育てをしながら編集者として忙しく働いている姿は、まさに私のロールモデル。

何か救いを求めるように、不安な気持ちを話しましたね。
「文章がうまくなりたい」「何者でもなく持ち上げられて、つらい」「消費されているだけ」など。また「インスタ消費文化論」も読んでもらいました。

滝川さんは、「構成や文章はまだまだだけど、才能はある。」と言ってくれました。
私は自信がなく、劣等感を抱いたので、光が差したようでした。

「才能なんてない」と諦めていたんですけど、すとんと地に足がついたような感覚でした。
「ここで頑張ろう」「文章を書く勉強をしよう」と決めたんです。

すぐに、SHEを卒業しビジネスインサイダーに移りました。

ー実際にインターンとして働いてみて、どうですか?

ニュース編集部なので泥臭く、細かい仕事が多いですよ。適当な自分は投げ出してたくなるときもあります。いくつか記事も書いているんですが、記者の大変さを少しだけ理解できました。

また自分の性格にもたくさん向き合うことができました。

実は、アルバイトを今までかなり経験しているんですけど、どれも続かなかったんです。
マルチタスクや時間管理が苦手で。あと「15分前集合」とか言われても、お金が発生しなかったら行きたくなかったんですね。
飽きたらやめるし、怒られたらすぐ逃げてました。
完全に働くことと社会をなめていましたね。
仕事をイヤイヤするつまらない大人ばかりで、社会と自分に絶望していました。

自他共に認める社会不適合者(笑)

でも、ここは不思議と続いている。
やっぱり「りっちゃま」という存在を認めてくれる、尊敬する大人がいるからだと思います。ビジネスインサイダーの文化も好きなので、向上心も芽生えました。たぶんついて行こうと思える人がいると頑張れる性格なんです。

自分が雑用を引き受けることで編集部のクリエイティブな時間が増すなら、喜んでやりますし。

ーかなりマインド的に、変わりましたね

アルバイトでの仕事経験は、自分を発揮できずにくすぶっていたんだと思います。
でも、きっと誰しも、存在を認めてくれて価値発揮ができる場所がある。
「このままでいていいし、社会と仕事は面白い。」
一年で精神面の成長を感じています。

ー現在21歳で、これからユニークキャリアをさらに積み重ねていくと思いますが、三田さんの夢はなんですか?

伝記に載りたいですね。伝記って、成功した人の、それ以前の紆余曲折があって面白いじゃないですか。だからわたしも、いろんなことを臆することなく経験して、その先で人にエネルギーを与える人になりたいです。

ー本日はありがとうございました!

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取材:西村創一朗(Twitter
執筆・編集:野里のどか(ブログ/Twitter