「いい過程がいい成果を生む」ー 複業で月250万円稼ぐ國富竜也の成功の秘訣

色々なキャリアの人たちが集まって、これまでのキャリアや将来への展望などを語り合うユニークキャリアラウンジ。第27回目のゲストは、Webマーケティング会社にてWebメディアを運営されている國富 竜也(くにとみ・りゅうや)さんです。

新卒で銀行に就職するも、一年半で辞めてWebマーケティング会社へ転職。しかし、ハードな銀行員生活のかたわらで始めた複業が転職に活き、その転職先での学びを複業に活かすという好循環を生み出している國富さん。

「複業したいけど、どんな仕事をしたらいいか迷っている」「どうしたら毎日ワクワクしながら働けるかわからない」という方へ、國富さんご自身の経験を踏まえたアドバイスをいただきました。

 

長期インターンを経て、働く意味を見つけた

― 学生時代に長期インターンをされていたとのことですが、きっかけは何だったんでしょう?

小さい時から満員電車で生気のないサラリーマンを見てきて、「なぜ人生の大半を仕事というものに費やさなきゃいけないんだ」「なぜ働かなきゃいけないんだ」と、働く意味が見出せなかったんです。そこで、実際に自分で体験して意味を見つけようと思ったのが、長期インターンを探すきっかけでした。

― なるほど、それでウォンテッドリー株式会社(以下、ウォンテッドリー)の長期インターンへ。この会社を選んだのはなぜですか?

もともと、ウォンテッドリーのサイトでインターン先を探していたんですよ。その中で、たまたまウォンテッドリー自体の募集要項も見ていたら「シゴトでココロオドルひとをふやす」というビジョンが掲げられていて。それを本気で考えている人たちと一緒に働けば、何のために働くのか自分なりの答えが出せるかもしれない、と思い応募しました。

― インターンでは、実際にどんな仕事をされたんですか?

ウォンテッドリーのサービスを利用している法人顧客に対し、求人への応募数を増やすというインサイドセールスの仕事をしていました。ただ、すごく忙しかったし、自分に求められる価値も高くなっていったので、自主的に土日も仕事に関することをやるようにしていましたね。

― 10ヶ月間インターンとして働いてみて、「何のために働くのか」という答えは出ましたか?

仕事って自分の義務だと思っていたんですが、人生の目的を達成するための手段として仕事を活かすべきなんだなということに気付けましたね。それまでは仕事=目的だと思っていたんですよ。

それに、二つの大きな学びを得ることもできました。一つ目は、「いい成果はいい過程を産む」ということ。結果は全て過程が生み出すもので、その過程に自分の本質的に好きなものがなければ仕事で心躍らせることは無理だし、いいパフォーマンスを出すこともできないんですよね。

二つ目は、「自由と自立のため」に仕事をするのだということ。とにかく自由に生きたいという人生の目的を達成するための手段として、仕事を活かすべきなんだと学ぶことができました。

 

ミスマッチに苦しみながらも複業のきっかけを得た銀行員時代

― 大学生のときに長期インターンを経験した人は、卒業後もベンチャーに就職することが多いと思うのですが、國富さんが銀行への就職を選んだのはなぜですか?

自分の金融資産をプロ目線でコンサルティングできるようになりたかった、というのが大きな理由です。小さい頃から、お金に関するリテラシーを学ぶことが人生を左右するんじゃないかと漠然と思っていたんですよ。そこで、金融に関するあらゆる事を幅広く学ぶために、業務内容の幅が広い三井住友信託銀行に就職することにしました。

― 実際に入社してみてどうでした?

人によって合う合わないもあると思いますが、かなりハードでした。通常勤務に加えて資格の勉強や飲み会、週末のボランティア活動など多忙で、金銭的な負担も大きかったんですよね。仕事を楽しめている人はほとんどいなかった気がします。同期400名のうち、恐らくですが、3年で3割くらいの人は辞めているかと思います。あくまで肌感ではありますが、辞めた人の話を同期から聞くとそんな感じですね。僕も1年半ほどで退職しましたし。

― どんなタイミングで退職を決意したんでしょう?

ブログという複業を見つけることができ、月5〜7万円くらいは稼げるようになっていたので「辞めても安心だな」と思えるタイミングでした。ブログは自分にとって好きだな、継続できるものだなと感じていて、ウォンテッドリーで学んだ「いい過程がいい成果を生む」という学びともマッチしているので結果も出せそうだと考えたんです。また、Webマーケティング会社に内定が出たタイミングでもありました。

― 辞める前にいろいろと準備をされていたんですね。退職する少し前から複業を始めていたとのことですが、多忙な毎日の中でどうやって複業の時間を捻出したんですか?

最初は複業にあまり時間は割けなくて、ネットで調べて手探りで試していたという感じです。空いた時間で1ヶ月だけやってみる、ということを繰り返していました。はじめは複業にフルコミットしていませんでしたね。

― 銀行で働く中で、複業をやろうと思うようになったきっかけは何かあったんでしょうか?

銀行員時代の経験を通して、「人生100年時代を生き抜くのはとても厳しい」ということをロジカルに学んだんです。人生100年生き抜くためには、最低でもおよそ2億円は必要になります。それに加えて自分のやりたいことや夢のために必要な金額を上乗せしていくと、もっともっとお金がかかる。税金や社会保険料もどんどん増えていくので2億どころじゃ済まなくなると思います。でも収入は逆に低くなっていく。

この事実を知って「これは月給25〜30万円どころじゃ生きられないな」という危機感を覚え、何とか稼がなきゃいけないと思ったのが複業を始めるきっかけでした。

 

人生の目的が明確だからこそワクワクして働ける

― 銀行を辞めたあとは、複業のブログを活かせるWebマーケティング会社に転職。まさに転職と複業の掛け算ですね。とはいえ、職務経歴書に書けるほどの複業の実績がない状態で内定がもらえるものなんでしょうか?

内定をもらえたのは、年齢が若かったこともあるかもしれませんが、複業でポートフォリオを作っていたのが良かったと思います。ブログ運営という実績があったので、ある程度の土台はあると評価してもらえました。

また、採用担当者に「業務とのミスマッチが起こらなそうだな」という判断材料を渡せたのが良かったかな、と。半年ほどブログを書いて月数万円稼げたという事実が、ブログが好きであることの根拠となりました。だから、大きな実績がなくても転職できたんだと思います。

― 世の中にはいろいろなWebマーケティングの会社がありますが、その中でも今の会社を選んだのはどうしてだったんですか?

僕の人生の目的は「後悔しない人生を送りたい」というものなんですけど、この会社ならその目的を叶えるためのスキルを身につけられそうだなと思ったんです。

振り返ってみると、今まで後悔したのは、やりたくないことばかりしていたときだったんですよね。なので、後悔しないために「やりたくないことリスト」を作りました。じゃあそのリストを達成するために必要なスキルを洗い出してみると、ライティングスキルやWebマーケティングスキル、プログラミング、動画などのスキルだったんです。

それらのスキルを最も学べる会社、業界ってどこだろうと考えたとき、今の会社に行き着きました。ここにはGoogle出身者がたくさんいて、さらにマーケティングや広告運用に深く関わっていた人もいたので、その人たちと一緒に働けば、自分が求めているスキルを一番身につけられると考えたんです。

― 「やりたくないことリスト」を考えるのは面白いですね。國富さんのリストには、具体的にどんなことが書かれているんですか?

例えば世界一周できない人生は嫌だ、満員電車に乗るのは嫌だ、自分で出社するペースを決められないのは嫌だ、場所に縛られる働き方は嫌だ……といったことを書いています。やりたいことももちろんありますが、やりたくないこともたくさんあるんですよね。

― 人生の目的を決めるとき、先にやりたいことを決めるという考え方もありますが、その逆のアプローチもあるんですね。

地図を持った宝探しのイメージですね。宝は自分のやりたいことで、地図の一点にしか宝はない。

宝の地図のイメージ図(画像:ご本人提供)

いきなりそれを探すよりは、やりたくないことを見つけていってバツ印をどんどん付けていくわけです。

地図にバツ印を付けていくイメージ(画像:ご本人提供)

やがてバツ印じゃない場所が小さくなって、自分が心からやりたいと思う選択肢しか地図に残らなくなるので、僕はそういう視点でやりたいことを見つけていきました。

― なるほど、わかりやすい例えですね。今の会社に入社してからは、どんな業務を担当されているんですか?

メディア運営です。この部署に配属させてほしいとしっかり伝えて配属してもらいましたし、複業で適正をチェックしていたので一切ミスマッチがなかったですね。毎日仕事に行くのが楽しみで、朝も早く起きれています。日曜日は、次の日が待ち遠しいくらいです。

― 銀行員時代とは大違いですね。なぜ仕事がそこまで楽しいと思えるんでしょう?

ひとつはなりたい自分を明確にしているからです。こういう人生にしたいと決めた瞬間に、全て逆算できるようになりましたね。目標やゴールを決めることで、熱中できる毎日を送れるんです。もうひとつは、好きなことをやってワクワクできていることかなと。この二つが日々ワクワクして生きていられる要因になっていると思います。

 

自分に合った複業探しのコツは、挑戦して好きかどうか確かめること

― 転職して1年が経ち、複業にも相当良いシナジーがあったんじゃないでしょうか。

本業全てが複業に活きていると思います。まずは会社で得た知識・スキルをそのまま複業に活かせていて、フリーランスとして働いていたら得られないようなものを、優秀な同僚から得られています。

また、本業を通して出会った人脈も活かせるんです。SNSに専門性を持っている人やエンジニアとして専門性を持っている人などいろんな専門家と繋がることができて、複業でお世話になるきっかけを作ることができました。

さらに、個人ブロガーだったら月10万PVくらいのWebサイト運営データしか手に入れられないところ、本業では月30〜100万PVのWebサイトを運営しているので、個人では入手できない規模のデータが得られるというのも大きいですね。

― 1000人1000通りの複業がある中で、國富さんはブログを選んだわけですよね。自分に合った複業を見つけるための方法論はありますか?

一番大事なのは、とにかく色々なことに挑戦して色々な複業をやってみることですね。まず、複業の全体像を知ること。「複業やるならブログだ」と決めるのではなく、どんな複業があるのか範囲を広げてリストアップしてみるんです。

やりたいことって自分の知っている範囲からしか選べないので、まずはその範囲を広げるためにネットや人を通じて視野を広げること。次に、その中から興味があることをピックアップしてみる。そして最後は、とにかく挑戦してみる。この3つのステップが大事だと思います。

実際にやってみないと自分が好きかどうかわかりませんし、「いい過程がいい成果を生む」と思っているので、過程でミスマッチが起きていないか判断するためにもとにかく挑戦してみるんです。

― まずはやってみて、ワクワク感や自分との相性を確かめてみるのは大事ですよね。自分のワクワクに気付くコツはあるんでしょうか?

僕の場合、気付けば毎日ブログを書けるようになっていて、一日中ブログを書いていることもあったんです。そのときに「自分はこれがすごく好きなんだ」とわかりました。そういう、日常が劇的に変わった瞬間を見逃さないことが大事ですね。

― 國富さんが掲げる「後悔しない人生を送る」という人生の目的のために、チャレンジしたいと思っていることはありますか?

100個くらいあるんですが、まずは海外旅行に行きたいです。日本一周はしていたんですが海外旅行はなくて、次は世界中の全ての国に行こうと考えています。まず2020年中に4つ行きたい国があるので、それらは全部期限を決めているんです。あとは、複業で月700万円稼ぐことや親に仕送りするなど色々あります。

― チャレンジに期限を決めているのは素晴らしいですね。最後に、U-29世代の人たちに伝えたいことはありますか?

やはり、「いい過程がいい成果を生む」ということを伝えたいですね。本質的に好きなことが何かというのを明確に言語化して、その過程がある複業を選ぶことが重要だと思います。それが分かるまでは「どうしたら成果が出せるのか」といったことばかり求めていましたが、好きなことであれば全部後からついてくるんです。

仕事となると給与や条件をベースに探してしまいがちですが、僕は実際に好きだからこそ複業と合わせて月250万円稼げるようになったので、ぜひ「自分の本質的に好きなものを探す旅」に出てほしいなと思います。その旅でいろんなことに手を出して、いろんな事に挑戦してほしいですね。

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取材:西村創一朗
写真:橋本岬
文:品田知美
編集:ユキガオ
デザイン:矢野拓実