会社を選ぶ基準は「居場所があるか」ーーインターン漬けの私が気づいた就活で本当に大切な事

2013年10月にサイバーエージェントが始動したベンチャー・スタートアップへの投資を行う藤田ファンド。2014年に凍結し、4年近く動きがなかった藤田ファンドが2019年に再始動したというニュースはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

その藤田ファンドにおいて起業家たちと代表取締役社長の藤田晋氏をつなぐ架け橋となっているのが入社3年目の「はやまり」こと坡山里帆さん。 

学生時代インターンで10社以上渡り歩いた結果、サイバーエージェントを就職先に選んだはやまりさんに現在のお仕事についてとそこに至るまでのお話をお伺いしました。

他人基準で、実は東大を目指していた。

―まずは簡単な略歴を教えていただけますか。

愛知県の高校から東大を目指していましたが合格できず、浪人した結果、横浜国立大学の経営学部に入学しました。卒業後(株)サイバーエージェントに入社し、はじめはAbema TVの開発局に配属されました。その後社長室の投資事業本部に異動し藤田ファンドを担当しています。

―東大を目指されていたのには理由があったんですか。

高校が進学校だったので同級生が医学部や東大を目指していたのを見て私もなんとなく東大を目指して頑張って勉強していました。当時は親や塾の期待とか、「周りがこうだから自分も」みたいな感じで勉強を頑張っていましたね。自分基準ではなく完全に他人基準で決めていた目標でした。

―それでは当時は勉強漬けの毎日だったんですか。

そうですね。でも「なんで勉強しているんだろう」という気持ちに駆られて勉強を放置した時期もありました。その時は期末試験の成績が今まで上位10%とかにいたのに下から3位とかにまで落ちました。

―そこから東大を目指すことになったのは何がきっかけだったんですか。

高校生の時に入っていたテニス部での成功体験がきっかけです。

少し話はずれてしまうんですが、テニス部の同期がめちゃくちゃ頑張っている姿をある日見た時に素直に「かっこいいな~」と思ったんです。それで引退まで真剣に部活に取り組もうと思ったんですが、どうせなら団体戦で県大会に行きたいと思って。

―やるならとことんやる派、なんですね。

それから目標達成のために必死で練習し、結果的に猛練習の甲斐があって団体戦で県大会にでられたんです。その時に「目標を掲げて努力すれば達成することができる」ということを実感、それが勉強面においても東大を目指すことに繋がりました。

 

―達成できなかったら、ということは考えなかったんですか。

仮にもしダメでも、その意識の高さや視座とかの高さが高ければ高いほどその後のふり幅も広くなるかな、と思っていました。上の方まで頑張ろうとするとピラミッドのようにその下の裾(=選択肢)も広がっていくイメージ。なので自然と東大を目指そうと思えましたね。

でも1年目は理系でチャレンジしたらだめで、浪人した2年目は文系でチャレンジした結果不合格。2年目は全然成績も上がらずむしろ1年目よりセンターの結果が悪かったので精神的にはあの時はすごくしんどかったです。

―それで横浜国立大学に?

はい。自分基準ではなく他人基準で目指していた東大だったので、モチベーションが続かなくなり最後にはもうどこでもいいやってというところまで開き直っていました。それで合格した横浜国立大学に進学することにしたんです。

バイト・サークル漬けからインターン漬けへ

―そこから横浜国立大学に入ってどうでしたか。

東大がダメだったことは吹っ切れていたと思っていましたが、落ちたくせにやっぱりちょっと学歴的に横浜国立大学を見下しているところはありましたね。

部活もテニスを続けようと思っていましたが親から仕送りをもらえなかった関係でテニス部は無理そうとなり、テニスサークルに入りました。入るまではテニスサークルなんて底辺だとか思っていましたよ(笑)

―入ってみたら変わりましたか。

底辺とか思っていたけれど入ってみたら楽しかったですね(笑)結局バイトとテニスサークルに明け暮れる大学生活を送っていました。いわゆる意識高い系からは遠かったです。

―バイト・サークル漬けからインターン漬けへの変化はどこで?

大学でゲストが毎回きて講演してくれるような授業をとっていたのですが、たまたま来られていたカヤックの代表の柳澤さんの講義を聞いて感銘を受けて、講義後駆け寄って『インターンさせてください!』とお願いし、面接を受けに行ったのがきっかけです。

大学三年生の時に某IT会社ではじめてのインターンをさせてもらい、業界の話を聞いたりいろんな人に出会ったりしていくうちに、大学の同級生から聞くことのなかったフレーズや発想が飛び交っている環境が面白くて「もっと色んな業界を見たい!いろんな人の話を聞いてみたい!」と思って他のインターンも参加するようになりました。大学でとっていた採用学というゼミでサイバーエージェントの人事制度が取り上げられていたのが理由でサイバーエージェントのインターンにも参加しました。

また、インターンがきっかけでこの頃には自分の価値観・選択基準が他人基準のピラミッド型から自分の興味のあることや好きなことを選択しようというハイブリッド型に変化していました。

 

会社を選ぶ基準は「自分の居場所があるか」

―様々なインターンを経験した結果、今の会社を選んだ理由は何でしたか。

人がどういう意思決定して、どういう人生歩んでいくんだろう、みたいなところに興味があったので人材や採用に強い会社に就職したいなと思っていました。

サイバーエージェントを就職先として選んだ理由としては、感覚的に会社の価値観と合うなと感じたことです。就職活動する中で「自分の居場所があると感じるか」はとても大事にしていて、サイバーエージェントは価値観もあっていたのでここなら自分の居場所があると思ったんです。

 

―会社の価値観と合うかの判断は難しいと思いますがどう判断されていましたか。

社員の方々と徹底的に話して、少しずつすり合わせしていました。ただ、話す時に意識していたのは、仕事上で気になるであろうポイントをしっかり聞くこと。

嫌なことがあった時はどうしているか。失敗したときの立ち直り方と失敗を社員同士で共有しているか。失敗した時の周りの人の態度はどうだったか。社員の人はポジティブか。何が働く上でのモチベーションなのか。どういうときにモチベーションがあがるのか。

上記のようなことを社員の方々に確認していました。

 

―新卒での配属は興味があると言われていた人事分野ではなかったんですね。

人事に行きたいという気持ちがあったものの、小さい頃から父親の影響もうっすらと起業したいという思いがあったので自分が成長できるところに行きたいという気持ちもありました。当時サイバーエージェントではAbema TVにちょうど力を入れようとしているところだったので、自分の成長幅を考えてAbema TV開発局でのキャリアスタートを決めました。

 

―開発局での仕事はいかがでしたか。

やりがいをとても感じていたものの、自分の仕事のできなさ具合に落ち込み、次第に精神的にきつくなっていました。何もしてないのに涙を流しているみたいな状況にまで陥った時期もありました。頑張っている同期と自分を比べて落ち込んだり、自分の力不足を他人のせいにしたくなったり、自分の気持ちを押し殺したことで辛くなったり。

今のメンタル状態はやばいよとお姉ちゃんに指摘されて気づくことができてメンタルの改善に取り組んだことでそこから抜け出すことができました。

―どのような取り組みをされたんですか。

病院に行くことも考えたんですが、まずは自分でできることをやってみようと思い客観的な意見やアドバイスをもらうべく社外の人たちに会いに行きました。

父親やテニス部時代のペアであり親友など自分が信頼している人たちに自分の状況を説明して、その人たちにアドバイスを求めました。そうしている中で、「この人たちがいるなら頑張れるかな」って前向きな気持ちを取り戻すことができたんです。最悪今の会社じゃなくても、この国じゃなくてもどこかで仕事はできるだろうって開き直ったら仕事がやりやすくなり、結果的にうまくいくことが増えました。

 

上を目指さないとそれ以上のものは得られない

―その後の異動は自ら希望したんですか。

はい。もし今後起業することを考えた時にここからステップアップしたい、もっといろんな事業を自分の目で見たい、起業家の人たちの実体験を聞ける仕事につきたいと思いサイバーエージェントキャピタルへの異動を希望しました。

が、ちょうどそのタイミングで藤田ファンドが復活することになり2018年の11月からそちらに異動することになりました。

―全く異なる分野への異動で苦労はありませんでしたか。

投資経験はなかったので最初は知識を身につけようと本をたくさん読みました。「起業のファイナンス」等を読んで起業家が使う単語を勉強しましたね。でも実際に投資してみないと分からないこともあると言われていたので出資先を探してみようとなり、いろんな起業家と出会った中で出資先記念すべき一人目として決めたのがタイミーの小川さんです。

―タイミーへの出資を決めた理由はなんだったんですか。

過去にサイバーエージェントベンチャーズが出資していたというのもありますが大きかったのは彼が大きな夢を描いていたから、です。

個人的に、高みを目指さないとそれ以上のものは得られないと思っています。だからどれだけ目標を高く設定できるか。小川さんは私が東大って思ったときに「いやいやスタンフォードでしょ!」と言ってくるような視座の高さを持ちつつ、同時に足元は実直に事業と向き合っている起業家だったのでだったので、我々としても応援したいと思い出資に至りました。

 

起業家と一緒に日本を盛り上げたい

―仕事に置いて結果を出すために実践していること等はありますか。

今の仕事において、結果を出すのって最後は経営者であって私ではないと思っています。なので私が気を付けていることは彼らが最短で結果を出すために私が何をできるかを考えることです。

問題が浮上してきたときに全部を助けることはできないけど、私ができることがあれば手伝う。そうすると私のできることも増えていくし、彼らも助かる。できないと分かっていることは断りますが、やったことがないならとりあえずやってみます精神でできるようになんとかしています

 

-結果的にたくさんできない仕事を引き受けるということにはなりませんか。

そうならないようにきちんと対話することは大事にしていますね。

ここはできません、っていうのをまず明確にした上で、ここなら頑張ればできるかもっていうニュアンスを事前にちゃんと伝えます。あるいはここを求められているのはうれしいけどこの部分には自分は向いてなくて、この部分だったら貢献できるかもしれません、という感じ。大前提にあるのは自分でちゃんと何ができて何がしたいかを把握しているということです。

―その頑張るモチベーションになっているものはなんですか。

起業家の人たちはリスクをとって大きな資金を動かしていてきっとプレッシャーもたくさんあるのに笑って前向きに仕事をしてらっしゃいます。期待されている分、すごいスピードでの成長が求められているはずなのに。そういう人達と一緒にいると私も自然と、成長しよう、やるしかないっていうメンタリティになります。それが今頑張る理由ですね。

―最後にこれからの目標等があれば教えてください。

直近の目標は貢献できる範囲を増やすことです。日本を変えたいと言っている経営者の方たちが本気で向き合っているので彼らがスムーズに経営できるように自分ができることを増やしていきたいです。

これから若いうちからチャレンジしている起業家がどんどん出てきて日本を盛り上げてくれたらと思っています。そのお手伝いを引き続きやっていきたいです。

 

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<取材:西村創一朗、文:松本佳恋、写真・デザイン:山崎貴大>