就職活動挫折組だった私が脱「片想い就活」を経て内定をもらうまで

出版社の面接に落ちまくった私が脱「片想い就活」で掴んだ営業職

学生時代、「何がやりたいかわからない」、「働きたい業界や職種がない」、「どの企業も同じように感じる」、「自分に何ができるかわからない」、など就職活動中に悩んだ方も多いかもしれません。実際、会社という組織に属して働いたことがないのに、入社後の自分を想像するのは難しいでしょう。

一方の企業もせっかく人を採用しても、新卒3年以内に会社を辞めてしまう人が多いと嘆いています。この理由として、企業と就活生の間に「ミスマッチ」が生まれていることが挙げられます。

初めての就職活動ではもちろん、転職活動においても「自分の選んだ方向はあっているのか」と不安はつきものです。そんなときに、時には厳しく、時には優しく寄り添って自分の進路について考えてくれる人がいると心強いですよね。

現在、株式会社UZUZでキャリアカウンセラーとして活躍中の望月奈津美さん。彼女も実は学生時代、就職活動が全くうまくいかず、落ち込んで悩んでいた一人です。そんな経験があるからこそ、現在キャリアカウンセラーとして求職者の気持ちを理解し、サポートできます。

望月さんの就職活動と現在のお仕事についてお話を伺いました。記事は二部構成で、第一部のこの記事では、望月さんの大学時代の過ごし方と初めての就職活動について、第二部では転職活動と現在のお仕事について焦点をあてていきます。

好きなことをやって過ごした学生時代と「片想い就活」

ー学生時代はどんなことをやられていたんですか。

3つのサークルを掛け持ちしていました。音楽系サークル、地域の自然について考え、地域の人とともに行動するサークル。そして一番力を入れていた、地域の中・高生を対象に、学校の枠に囚われずやりたいと思っていることを応援し、それをサポートするサークルです。サークルが楽しくて、正直、仕事や就職についてあまり考えていませんでした。

ーでは、就職活動はどうされたんですか。

自分は何が好きなんだろうというのを最初に考えましたね。漫画やアニメ、写真集などがとても好きだったこともあって、お恥ずかしながら、なんとなく出版業界に目が向くようになりました。しかし目指してみてわかったのは、出版業界はそんな甘いものじゃないということ。熱意があって、出版業界に強い思い入れを持っている人が多かったですし、当然、地頭や経験値も自分より高い人ばかりでした。当時の私は全く歯が立たなくて、ことごとく「お見送り」が続いていました。

ー今の自分が、当時の自分にアドバイスするとしたら、何と言いますか。

「好き」だけで選ぶ一方通行な「片想い就活」はうまくいかない、ということですね。何もマーケット(市場)のことを知らずに、気持ちだけで走ってしまっていたところがありました。そうではなくて、もう少し業界のことを調べて、「どんな人材が求められるのか」、「どんな経験をしていたらそこに行けるのか」、といったところを長期的にしっかり、もっと前から準備して臨むべきだったなと思います。

第一志望の会社に最終選考で落ちてしまい、落ち込んだ日々

ー第一志望の会社に4次選考で落ちてしまったと伺いましたが、詳しくお聞きしてもよろしいですか。

はい、出版社の営業職で、最終選考まで残れたので頑張ろうと思っていました。一次選考から三次選考では筆記や面接試験などをおこない、最終選考は社長と役員が4〜5人ずらっと並んでいる面接でした。しかし、結果はダメでしたね。そこの出版社が出している出版物がビジネスマン向けのものだったんですが、「まだまだ読み込みが甘い」と社長から人事の方へ指摘があったようで、会社への愛着がないと思われたのかもしれません。

第一志望の会社だっただけに、受かったら行きたいなと思っていたのですが……。最終選考の5日後くらいに人事の方から「落ちた」という連絡を電話でもらいました。ちょうど他社の面接帰りで、そのときは悲しすぎて、思わず電車の中で泣いてしまいましたね。

この会社に落ちてから、出版業界だけを見るのはやめました。

ーその後の就職活動は?

うまくいかず、結構落ち続けていました。もちろん出版業界だけではなく、他も受けたのですが、書類で落ちたり、面接がうまくいかなかったりという時期が続きましたね。就職活動へのモチベーションが落ちて、とても悲観的になっていました。「私は社会で必要とされていないんだなぁ」って。

ー何社くらい落ちたんですか。

見ていた業界が自分にあっていなかったのかな、ちょっと高望みしすぎたかなと思い、40〜50社程チャレンジしたんですが……。結局どれも上手くいかなかった記憶です。

ーなんでも望月さんは、とある本で気持ちを奮い立たせたそうですが…

はい。先ほど、第一志望の会社に落ちてしまった話をしたかと思うんですが、この会社の人事の方から、電話でこんなことを言われたんです。

「ウチがだめだったからといって、就活自体がダメだったというわけではないですよ。次のフィールドでどこかに入社して、うまくいくことを祈っていますね」と。

「お祈り電話」ではあったのですが、他にもたくさんフィードバックをいただきました。私はその電話に救われた部分があって、とても嬉しかったので、後日、手紙を書いたんです。その後日返信がありまして、本が同封されていました。

その本は人事担当の男性社員の方が自費出版されたもので、その中に「後悔(後で悔いる)」ではなくて、「考えを改める」という「考改(こうかい)」と捉えよう、みたいな話があって。これを読んだとき、もう一回就職活動頑張ろう!と思いましたね。

就職活動を再開して、ついにOA機器会社の内定をもらう

ー就職活動は一旦休まれたんですか?

はい、一週間くらい休憩して、すぐ再開しました。そこから業界を変えていき、内定をもらえるようになりました。その一社が前職のOA機器会社の新規開拓営業です。

ーそこに決めたポイントは?

商材の幅広さですね。OA機器と複合機だけではなかったので、自分で営業して、売れたら面白いだろうなと思いました。

地道な営業活動の開始

ー新規開拓営業ではどんな風に働かれていたんですか。

行動あるのみ、「新人は質より数だ!」と思って働いていました。日々飛び込み訪問をして、会社の中に部署も色々あるので、組織図を探り、ここに行ったら、次こっちに行って、どんどん横に展開していくというようなことをやっていました。関係性を築くことを一番意識して、一人だけでも窓口になってくれる人が出来て仲良くなったら、「他部署の責任者と繋げてもらおう」という感じで行動していました。

ーお客様との関係はゼロからですものね。実際、関係性作りや新規開拓営業はいかがでしたか。

そうですね、とりあえずは、行く→電話する→行く→会う→話す→メールとハガキでお礼→次回も会う、というようにひたすら“行動”でした。小さなことでも良いので接点を作ることを意識していましたから、下調べして、相手が興味を持ちそうな商材カタログを片手に訪問して……を繰り返しましたね。泥臭い営業を続けて、段々と「じゃあ、ちょっと話聞いてあげるよ」となり、そこから徐々にお客様との関係性を築いていった感じです。

楽しかった大学時代、希望の出版業界に入れなかった就職活動前半戦。落ち込み悩んだ後、業界を変えて就職活動を再開し、内定をもらえるようになった就職活動後半戦。

望月さんは、OA機器会社に入社し、新規開拓営業の仕事に一生懸命がむしゃらに取り組みました。その努力の甲斐あって、お客様との関係もゼロから築き、話を聞いてもらえるようになります。自社の商材を購入してくれるお客さんも増え、順風満帆のように見えた彼女の営業キャリア。

しかし、OA機器会社に入社して2年半くらい経った頃、彼女の心境に変化が訪れます。キャリアカウンセラーになるまでのストーリーは2部に続きます。